
音楽番組やイベント紹介などで、
近年になって様々な新しい言葉が使われていますが、
その中でも
『ラップ』や『リリック』という言葉は、
抜きんでて多く使われ始めていますよね。
あまり身近に感じられない言葉の為、
「でも意味は解らないんだよなあ」
という方も多いのでは?
今回はそんな貴方の為に、
『ラップ』という言葉を中心に、
『リリック』などの用語も併せて
紹介していきたいと思います。
意外と知っているつもりでも
知られていない事もありますし、
知っていれば
身近なところで使われているのに気づいて、
親しみを感じる事もできるかもしれません。
どうぞ、気軽な気持ちで読んでいってくださいまし。
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目次
苦手な横文字、ラップやリリックとは?
☆ラップとはどんな意味なのたろうか?☆
ラップとは、『韻(ライム)を踏み』、
『リズミカルな演説』と
『ストリートの言葉』を組み込んだ、
音楽手法や歌唱法の一つであると言われています。
社会的な主張をしたり、
個人を称賛あるいは批判したり、
自分の思いのたけを表現する為に使われる事も多く、
メロディを必要としない為場所を選ばず、
どんな時でも表現する事ができ、
近年では国内でも大会が開かれる程に
認知されていっています。
日本では『ラップ』と呼びますが、
その他にも海外では
『ライミング』『スピッティング』
『エムシーイング』とも呼ばれ、
これをする人の事を『ラッパー』『MC』と呼びます。
ラップの語源は『会話する』という意味で、
転じて『会話するように歌う』事から、
ラップと呼ばれるようになったのだとか。
☆リリックとは何だろう?☆
ラップとセットで使われる事の多い
『リリック』とは、日本語で
『歌詞』『叙情詩』という意味合いの言葉です。
ラップにおいては
叙情詩(心情や考えなどを表現したもの)
を用いた歌詞を『リリック』と呼ますが、
叙事(事件など、物事のありのまま表現する事)
的なものも、
時としてリリックとして扱われるようです。
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韻を踏むとはこういうこと!
☆韻はラップにおいて特に重要な要素☆
ラップを構成する要素の一つとして
特に知られているのが、『歌詞で韻を踏む』という事。
歌の部分でリズミカルに、
それでいて聞き取りやすく表現する為、
他の歌とは全く違った印象を与える事も多いと思います。
では、この『韻を踏む』とはどのようなことなのか。
これを紹介したいと思います。
☆韻とは何なのか☆
『韻を踏む』の『韻』とは、
詩文などで、一定の間隔や位置に並べられる、
同一あるいは類似の響きを持つ言葉の事を指します。
この場合の同一というのは、
『母音』と『響き』が同じという意味で、
例えば『意思』と『西』、『染み』
という言葉は母音も響きも同じ為、
韻を踏んでいると言えますが、
同じ『いし』という読みでも『石』では
響きが異なる為、韻を踏む事にはなりません。
韻には頭だけ合わせる『頭韻(とういん)』や、
後ろだけ合わせる『脚韻(きゃくいん)』
と呼ばれるものもあり、
歌を作る際には
これを使う事でよりリズミカルに、
印象的に、そして覚えやすいものとなる為、
重要であるとされています。
☆ダジャレとは何が違うのだろうか?☆
実際にラップを聞いていると、
その歌詞がダジャレになっているように
感じる方も中にはいらっしゃるかもしれません。
それは流れる様に聞こえてくるフレーズの中で、
同じように聞こえる言葉が続くからなのですが、
韻を踏む事とダジャレとは
似ているようで少し意味が異なります。
まず、韻を踏むというのは、
母音と響きが一致した言葉を使う事を指します。
上の見出しでも紹介しましたが、
『母音と響きがあっていれば同じ読みでなくともいい』のです。
それに対しダジャレとは、
なんとなく似た様な響きの、
同じ読みの言葉を並べただけのものを指します。
『かねがね考えたら金がねぇ』
『布団が吹っ飛んだ』のようなものですね。
この為、ダジャレとして並べた言葉が
韻を踏んでいる事もあり、韻を踏んだ言葉が
結果的にダジャレになっている事もありますが、
必ずしも韻を踏む事=ダジャレではありません。
また、ラップにおいては
『意味が通る事も大切である』とされる為、
ただ似ている言葉を並べればいい
というものでもないようです。
勿論、意味が通っていて韻が踏まれているなら、
それがダジャレであっても何の問題ありません。
日本語でラップを作ろうとすると、
どうしてもこの『韻を踏む』というところから、
意図しようとしまいと
ダジャレに繋がってしまう事が多いらしく、
ラップやこれに関連する音楽表現を
嫌う人や低く見たい人からは
『ダジャレで歌ってるだけだろ』
『ただのオヤジギャグじゃないか』
といった批判も生まれるのですが、
言葉遊びを用いて歌っているのですから、
似ていたりダジャレの要素が含まれるのは当たり前なのです。
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韻を踏む作文集
☆韻を踏んだ一文の例を挙げてみよう☆
- 『淡い想い甘い私 我が身騙し笑い話』
『想い』以外
全ての母音が『アアイ』になっていて響きも近く、
『想い』も『イ』が続く為脚韻となっている。
- 『踊る鼓動求むトーク 初老の旅情大いに望み』
母音は『大いに望み』以外は『オオウ』で、
部分ごとに響きをまとめています。
また、『大いに望み』の母音は
『オオイ』で韻を踏ませています。
- 『ダラダラワガママ ただただ浅はか』
韻を踏む言葉に制限はなく、英語や擬音、
造語なども使う事が出来ます。
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ラップに関係する言葉たち
☆ラップには色々な関連用語が存在する☆
『ラップ』と『リリック』以外にも、
ラップに関係する言葉が色々なところで使われています。
ここでは、その紹介をしていきたいと思います。
☆ヒップホップ・ミュージック☆
『ヒップホップ・ミュージック』
をラップと同一視している方も多いかもしれませんが、
ヒップホップ・ミュージックとは、
ラップを含むリズミカルな歌(MC)を中心にした、
ブレイクダンスやスクラッチ(DJ)、落書きなど、
様々な要素の重なった音楽の事を指します。
つまり
『ラップの要素を含んだ複合的な表現の仕方』
というのが、正しいヒップホップ・ミュージックの
意味であると言えそうです。
要素としてラップを含んではいるのですが、
ラップそのものは、
ヒップホップ・ミュージックが生まれる前から
存在しており、
ラップが広がった中の一つとして、
ヒップホップ・ミュージックが誕生した、
という形になっているようですね。
日本にラップが広まったのも
この形からとなりますので、
ヒップホップ・ミュージック=ラップと
誤解されやすいのだとか。
☆フリースタイル☆
近年ラップ関係のイベントとして
大きく広がっているのが、この『フリースタイル』です。
フリースタイルとは、
本来は無構成の音に自由な形のラップをあてはめ、
歌にする事を指す言葉なのですが、
近年では即興でリリックを考えてラップする事、
といった意味も含むようになりました。
イベントなどで広まりつつある
『フリースタイルバトル』では、
このフリースタイルで
二人のMCが即興のラップを作り、
互いにリリックによってぶつかり合い、
勝敗を競うというもので、
他の音楽表現にはない、感情のままに
マシンガンのように言葉を繋いでいく為、
ある種の格闘技を観覧しているような
不思議な高揚感を観客に与えるものなのだとか。
あくまで歌という形にはめ込みながらも
熱いMC達の舌戦は、
海を越え様々な国で繰り広げられているようです。
☆必要ならばディスりすらも許される文化☆
『ディスり』、あるいは『ディスる』とは、
英語で言う所の
『ディスリスペクト(尊敬の対義語)』、
あるいは
『dis(非や不)』といった意味合いの言葉で、
『相手の事を馬鹿にしている』
『とても失礼な言葉遣い』
『相手の人格を否定している』
といった、
よくない表現に対して使われる言葉の為、
一般には歌詞として用いると怒られる表現なのですが、
ラップ、
特にフリースタイルバトルなどの場においては、
表現の為ならばこのディスりすら許されてしまいます。
ただしここで勘違いしてはいけないのは、
ディスる事そのものは許されても、
それそのものは批判や悪口以外の何ものでもないという事。
そうまでして伝えたい何かが感じられなければ
聴衆は湧かず、却って対戦相手からの
手痛い反撃を受ける事もあるという事です。
ただ相手を意味なく
罵倒すればいいというものではなく、
聴衆が聞いていて湧くような、
それでいて対戦相手が怒ったとしても
頷かざるを得ないような、
そんなパフォーマンスとしてのディスり方が
できなければ、
聞く者が呆れ、相手を怒らせるだけの
悪口になってしまいますので、
その辺りは注意が必要となるかもしれません。
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まとめ
筆者は音楽にはあまり造詣が深くない為、
「ラップってよくYoYoって言ってるアレだよね?」とか、
「ヒップホップとラップの違いが今一解らないな」とか、
そんな感じの認識を持っていました。
最後に紹介した『ディスる』という言葉も、
ネットではよく見かけていたので、
ネットスラングの一種か何かだと
思っていたのですが、
まさかこれがラップ用語だったとは思いもせず。
そんな感じで、
調べていけばいくほど色々解るのが楽しくなり、
あれやこれやと紹介してしまいました。
ラップあってのヒップホップな事や、
あの独特の歌詞が単なるダジャレではなかった事など、
今回の記事で分かった事も多いのではないかと思います。
今一苦手だなと思っていたラップも、
こんな感じで解っていくにつれ、
興味を覚え始めたと言いますか。
『そういえば昔こんな感じの番組あったなあ』
と、最近だけでなく
昔から足掛かりになるような番組があって、
今の人気に繋がったんだなあ、
という感慨深さも感じています。
どうぞこの記事を読んだ方が、
これをきっかけに、
筆者同様に少しでもラップについて興味を持ちますように。
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