近年スーパーなどで季節を問わず売られるようになった焼き芋。その中でも特に甘く、とろ~りとした食感の『安納芋』は、今や焼き芋だけでなく、様々なお菓子や料理に使われ、秋の代名詞になりつつあるようです。
ですが、名前こそよく聞くものの、安納芋がどんな芋なのか、消費者側としては、詳しく知る機会は少ないかも知れません。
そこで、今回は安納芋の魅力をお伝えする一環で、安納芋についてのあれやこれやをいろいろ紹介したいと思います!
何も知らずとも美味しいですが、美味しさの理由を知れば、納得しつつも楽しめる、とても素晴らしいお芋に大変身です!それでは早速参りましょう。
安納芋の特徴は?何故収穫時期から市場に出るまでの時間がかかるの?
安納芋が日本に広まった由来
安納芋が最初に栽培されたのは鹿児島県にある種子島。
ここで栽培され続けた事が元で、種子島の特産として市場に出回るようになり、平成25年に他地域での栽培が認められるまで、種子島の登録品種苗として独占的に栽培されていました。
元々安納芋という芋は日本国内にあった訳ではなく、第二次大戦時、海外から帰還したある兵隊が一個の『とても甘い芋』を持ち帰った事から、これを島内で分け合って食べられるようにと栽培し始め、品種改良の末に開発されたものなのだとか。
種子島だからこそ美味しくなる秘密
他の地域でも栽培されるようになった安納芋ですが、それでも尚、最初に栽培された種子島が最も味が良いという意見が多いようです。
それは何故か?
種子島は元々海底だった地形が隆起した結果出来上がった島で、これが元で土壌の中に豊富なミネラルを含む点と、島としてはかなり特殊な平坦な地形をしている為、潮風に乗ってミネラルが広域に散布される事から、自然と安納芋の育成に適した環境が整っていく点が、特に大きいようです。
元々の生産地だった事もあり、栽培に関してのノウハウも、他と比べ物にならないほど蓄積されている点も、無視できない要因なのではないでしょうか?
安納芋の特徴とは
安納芋の特徴としては、皮の薄さと糖度の高さ、そして水分量の多さがあります。
成分としてショ糖を多く含む事からとても甘く感じ、更に多糖類全般の高さから、しっとりした食感となっています。
また、水分量が多いことから、じっくり火を通す事でトロトロのクリーム状にとろけ、これが焼き芋にした時の特徴的な食感に繋がっているようです。
安納芋の収穫時期と市場に出回る時期がズレる理由
安納芋は9月から11月ごろにかけて収穫されます。ただし、収穫してすぐよりは2~3週間ほど置いたものの方が、甘みが増すという事で、実際の旬は10月~12月といったところ。
これに合わせて販売する為、安納芋は収穫期からズレた時期に販売されるようです。
ただし、全てがその年に売りに出される訳ではなく、低温管理された貯蓄品もあり、旬と関係なく通年通して販売されている芋は、この貯蓄品である可能性が高いです。
安納芋とさつまいも!違いは糖度の高さ!安納芋の食感が人気の訳は?
安納芋と他のさつまいも品種は何が違うのか?
上の見出しで安納芋の特徴は糖度と水分にあると紹介しましたが、他のさつまいも品種も糖度が高く、焼き芋にすると甘くなるのはご存知の通り。
では、安納芋と他のさつまいもでそこまで違うのでしょうか?
はい、かなり違います。
芋の甘さを感じる糖度としては、安納芋は生のままでも糖度16。
糖度16というと、フルーツで言うならミカンなどの柑橘類や梨、イチゴやスイカよりも高いものとなっています。
更にじっくりと焼く事で糖度40前後まで跳ね上がり、大変甘くなります。
実は安納芋より甘い品種も開発されていた!
ここまで紹介された安納芋のおかげで、しっとりとした蜜を含む『蜜芋』がブームとなり、これがきっかけで、様々な甘い芋の品種が開発されるようになりました。
その中でも特に甘いとされているのが『紅はるか』。
「安納芋よりはるかに甘い」と言われる事から名付けられた品種で、名前の通り、生のままでも40度前後の糖度、焼き芋にする事で50~60度という破格の甘さを誇り、クリーミーな食感もあって人気を生んでいます。
近年の焼き芋ブームはクリーミーな食感が話題になっている
安納芋しかり、紅はるかしかり、『蜜芋』と呼ばれる芋たちに共通した特徴として、高い糖度だけでなく、じっくり焼いた際のクリーミーな食感が、人気の元になっているようです。
実際、焼き芋にすると従来の焼き芋と比べしっとりとしていて、喉に詰まらずに食べる事が出来るため、スイーツ感覚で食べやすくなっているのが、これらの芋の最大の強みと言えるでしょう。
安納芋のほっくほくレシピ!美味しさ味わいつくす人気の簡単レシピ!
安納芋の素敵レシピたち
さて、ここで安納芋を使った簡単なレシピを紹介したいと思います。
何せ折角の美味しい芋ですから、美味しく食べたいですよね。どれも簡単に作れるものばかりですので、是非機会があったらお試しくださいませ。
レシピ1.安納芋の焼き芋
- 材料:安納芋(お好みの本数だけ)
- 必要な機材:オーブン、キッチンペーパー、アルミホイル
調理手順
- 安納芋を、ていねいに水洗いする。
- 水で濡らしたキッチンペーパーにくるみ、アルミホイルで包む。
- 2を250度のオーブンで約30分加熱したら完成。
ほくほくとして中身はとろーり。最高の焼き芋をどうぞ!お好みでバターやマーガリンを使うのもアリですよ!
レシピ2.安納芋の簡単スイートポテト
- 材料:安納芋(お好みの本数だけ)
- 必要な機材:焼き網やグリルパン、アルミホイル
調理手順
- 安納芋を水でていねいに洗い、半分に切る。
- 切ったものをアルミホイルに包んで焼き網やグリルパンに。
- 弱火で20分焼いたら裏返し、更に20分焼く。
- 焼き終わったらアルミホイルを剥がし、
- 強火で2分ずつ上下を焼き、焦げ目をつける。
- 器に盛り、冷蔵庫で冷やしたら完成。
元々火を通すとクリーム状になる安納芋は、特別なことをせずとも火を通すだけでスイートポテトに!
お手軽にスイーツを食べたい方にはお勧めですよ!
レシピ3.安納芋の芋羊羹
- 材料:安納芋一本、牛乳大さじ5、砂糖20g、粉寒天2g
- 必要な機材:耐熱容器、電子レンジか圧力鍋、鍋、フードプロセッサーなど
調理手順
- 安納芋を耐熱皿などに入れて電子レンジで温めるか、圧力鍋で10分ほど蒸す。
- 芋の粗熱を取り、皮を剥いて一口大に切る。
- 鍋に牛乳・砂糖・粉寒天を入れて1~2分温め、粉寒天と砂糖を牛乳に溶かす。
- 2と3をフードプロセッサーなどに入れ、ペースト状になるまでかくはんする。フードプロセッサーが無い場合はすり鉢などで、ペースト状になるまですり潰す。
- 水をくぐらせた容器に4を入れ、冷蔵庫で冷やし固める。
- 食べやすいサイズにカットして盛りつければ完成。
ちょっとお高いイメージの芋羊羹も、自宅で作ってしまえば格安でいつでも食べられる逸品に!お茶請けにも合いますし、是非お試しくださいませ!!
安納芋について調べてみたまとめと感想などを
安納芋の伝わった経緯を調べていて、種子島の島民の方が「自分達は大飢饉の中でも飢えた事が無い」と語っていた、という話を見つけ、種子島という環境の特殊性、とりわけ農業に適した地形が、安納芋という偉大な特産に繋がったのかなあ、という考えに至りました。
最近のスーパーでの焼き芋ブームにはそんな理由があったんですね。
とても甘い芋が通年食べられるありがたさをかみしめながら、美味しい焼き芋をいただくことにします。
また、安納芋以上の甘さを誇る紅はるかのような芋たちも、続々と登場し、新品種の開発合戦になっているようですし、これからもまた、更なる素敵な芋たちと出会える機会もあるかもしれません。
もう今から秋が楽しみで仕方ないです。早く焼き芋の季節にな~れ! なんて思ってしまいます。
どうかこの記事を読んだ方が、そんな芋知識と共に、美味しくお芋を食べられますように。
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