駅前など、樹の生えているところで夕方になると、よく見かける小鳥っていませんか?
かなりの数が一か所にまとまって集まり、沢山の鳴き声が聞こえる為、ご存知の方も多いかも知れません。
この鳥は『ムクドリ』といって、かつては益鳥として扱われていた鳥でした。
今回はこのムクドリについてよく知らない方の為に、ムクドリのあれやこれやを説明していきたいと思います。
どうぞ興味のある方は読んでいってくださいませ。
それでは早速参ります!!
ムクドリは画像で見ると可愛い姿?!鳴き声は騒音並みにうるさい?!
ムクドリの画像
ムクドリとはどんな鳥なのだろうか?
まず、ムクドリとはどんな鳥なのかについて紹介しますね。
上の画像を見てもらえると解るように、ムクドリは黄色いくちばしと足を持った、『スズメ目ムクドリ科』の鳥です。
サイズ的にはスズメと鳩の中間程度で、日中は一匹~数匹程度で公園や田畑などで見る事ができます。
このムクドリ、日本ならほとんどの地域で一年を通して見る事が出来ます。
北部のみ冬場は南に移動するようですが、基本的には一年中同じ場所で暮らしているようです。
鳴き声は『ギャーギャー』『ギュルギュル』といった、一般にはやかましいとされる部類の鳴き声に入ります。
ムクドリの食べるものは何だろうか?
ムクドリは雑食性の為、虫や果物の実、種などを食べます。
特にムクの実を好んで食べる事から、『ムクドリ』と名付けられました。
かつては田畑の害虫を食べてくれる事から『益鳥』として扱われ、今でも害虫が大量発生しない為の、重要な食物連鎖の一角を担っています。
ムクドリには習性などはあるのだろうか?
ムクドリは春から夏にかけての繁殖期になると、つがいとなって分散し、軒下や木のウロなどに巣を作ります。
両親ともに子育てをし、ひなが育つまでの間は巣で眠ります。
この時期は密集しない為、騒音やフン害などはなく、むしろひななども含め旺盛に害虫を食べてくれる為、益鳥と呼ばれる面ばかりが目立つと思います。
ひなが育ち、飛べるようになると、ひなと共に他のムクドリと群れを形成するようになるのですが、ここからが人にとって問題になるのです。
この頃になると、ムクドリは夕方に『ねぐら』と呼ばれる、集団で夜を過ごす為の場所に集まり、なんと周囲10km以上の範囲から、このねぐらに一斉に集まってきます。
この為、駅前など明るく木々が生えている、天敵が少ない場所などには大量に集まる事が多く、これが元で、近年ではフン害や騒音などで嫌われ、害鳥として扱われるようになりました。
また、冬場になるとより大きな群れを形成するようになり、時として数万羽規模の群れとなる事もあるそうです。
ムクドリが駅前に集まるのは人が開発し過ぎた所為
このように、人に嫌われる事も多くなったムクドリですが、彼らも別に人に嫌われたくてそこに住んでいる訳ではなく、
『元々は河原などに生えている木をねぐらとしていたのを、開発が広がりそういった環境に住めなくなったため、都市部に適応して住むようになった。』
というのが都市部で騒がれる原因だったのだとか。
つまり、人が彼らの住処を奪った結果起きた、ある意味では自業自得とも言える結末だったのですね……
都市部では近年似たような例として、ハヤブサなどの猛禽類がビル街に適応し、数を増やしているといった例もありますが、
自然環境を追われると、生きていくためにはどうしても都市部に適応せざるを得なくなり、その結果人にとって害ある存在になってしまう。
というのはなんとも報われないお話ですね。
ムクドリの画像にはひなの姿も?!巣にいるひなの鳴き声もうるさい?!
ムクドリのひなはどんな姿なのだろうか
ムクドリのひなに関しては、こちらのブログがよく映っている画像を乗せているので、参考にしていただければと思います。
https://blog.goo.ne.jp/buono2009228/e/9c711cb4251b3c34e3fea578e63fcca0
このブログの画像のように、ムクドリのひなは親鳥に似て、黄色いくちばしと足を持っています。
また鳴き声はYouTubeに動画がありましたので、こちらを参考にして頂ければわかりやすいと思います。
聞いてみると、鳴き声だけならスズメに近い気がします。
この頃のひなはまだ巣立っておらず、民家の軒下や戸袋などに作られた巣で親鳥に育ててもらいながら、スクスクと成長していきます。
鳴き声もこれくらいなら、ツバメが巣を作った時と、そんなに変わらないのではないでしょうか?
ムクドリのひなは巣から落ちている事がある
巣立ちが近いひなは、羽ばたこうとして巣から落ちてしまう事があります。
小さな巣なので、ちょっと動くとすぐに落ちてしまうのですが、ここで注意点が一つ。
この落ちたひなを見つけても不用意に拾ったりはしないでください。
何故かというと、親鳥は巣からヒナが落ちてしまっても、欠かさず餌を与え育て続けるからです。
巣から落ちてしまったとしても、そのまま成長し、飛べるようになれば巣立ちできますので問題はないのですが、
親鳥が生きているにもかかわらず人が手を出してしまうと、親鳥はそのひなを自分の子としては認識しなくなり、その時点でそのひなに対しての子育てをやめてしまいます。
例え一瞬、ひなを巣に戻すだけであったとしても、人のにおいが付いてしまったひなは、既に子とはみなされないのです。
親鳥が何らかの事情で死んでしまった場合や、そのまま放置しておけば死んでしまう場合を除けば、
極力手は出さず、そのひなの無事を祈りながら見守るのが最善であると言えます。
ムクドリはとても繁殖力が強い事も考えなくてはならない
巣から落ちてしまったひなを見れば、どうしても「助けたい」「そのまま放っておくのは可哀想」と思ってしまうかも知れません。
ですが、ムクドリという鳥はとても繁殖力が強く、よほどの事が無ければ数が激減、といった事態にはなりません。
都市部に適応しているというのも強みの一つで、天敵が少なく餌が豊富な為、どんどん増えていくのです。
この為、無理にそのひなを助けずとも、ムクドリはどんどん増えていきます。
残酷に思えるかもしれませんが、見捨てる事によってむしろ数が調節されるものと、心を鬼にしてしまっても、誰に非難される事もありません。
助けて人の手で育てる事が自然から逸脱した行為とするなら、見捨てる事によって死ぬのは、自然に即した行為であるともいえるのです。
彼らが生きるのは、あくまで『人に限りなく近い場所にある自然』であって、『人と同じ場所』ではないのです。
また、ムクドリは飼育が禁止されている野鳥です。
例え拾ったとしても、飛べるようになったらすぐに放してあげてください。
「可愛いから」
「そのまま自然に返すのは可哀想だから」
といった、人の勝手な都合で飼い続ける事は、法的にも、またひな自身や自然界にとってもマイナスになる、と覚えておくといいでしょう。
ムクドリとヒヨドリはそっくり?!画像による簡単な見分け方はある?
ヒヨドリの画像
ヒヨドリはこんな鳥
街中で、ムクドリと同じように見かけるのが『ヒヨドリ』。
よくムクドリと間違えられることも多いのですが、ムクドリが『ムクドリ科』であるのに対し、ヒヨドリは『ヒヨドリ科』となっており、
同じスズメ目ではあるのですが、明確に違う種となっています。
画像を見てもらえれば解るように、ヒヨドリはムクドリと違い、くちばしが黒く、またムクドリと違いほっそりとしています。
大きさもムクドリより小さめで、頭の上に冠のように羽毛が伸びているのが特徴です。
ヒヨドリは何故ムクドリと間違えられるのだろうか
これだけ違いがある鳥なのですが、ムクドリとヒヨドリはよく混同されて間違えられることがあります。
近場でよく見てみると全く違う鳥と解るのですが、この二種類の鳥は同じように日中、公園などで見かける事が出来る鳥です。サイズに違いこそあれスズメ以上鳩以下といった大きさ。
そして食べるものも木の実が中心で虫も食べるといった感じで、見た目以外に似ている部分が多いから、というのが理由のようですね。
細かく見るならば、ヒヨドリは繁殖期以外は果実を食べる事がほとんどで、ツバキなどの花の蜜を特に好む事もあり、ツバキの近くに陣取る事も多いと言われています。
この為、ツバキの花の近くからじっと動かないようなら、ヒヨドリである可能性は高いです。
鳴き声も全く違い、甲高い声で『ヒーヨ、ヒーヨ』『ピッピッピッピッ』と鳴きます。
ヒヨドリもやはり害鳥として嫌われる側面がある
ヒヨドリはムクドリほど大量の群れとなる事はありませんが、それでも多ければ1000羽ほどの群れとなり、一斉に行動する事はあるようです。
甘いものが好きな為、果物やキャベツなどの甘みの強い野菜は一斉にたかられ、瞬く間にダメにされてしまう事もある為、
都市部で嫌われるムクドリとは逆に、農家に特に嫌われやすい鳥であると言えます。
この辺りもムクドリとの大きな違いでしょうか。
昔はとても愛されていたヒヨドリ
ヒヨドリは、ヒナから飼育下に置くことによってとても人間に慣れ、『よく懐き飼い主を見分ける』とされている鳥でもあります。
この為、平安時代では貴族に好んで飼われ、古今著聞集(ここんちょもんじゅう)などの説話集にも、そういった記述が書かれる程、愛されていた鳥であったとされています。
今でも海外のバードウォッチャーからは注目の的
実は、そういった過去の話とは別に、今の時代においても、海外のバードウォッチャーの間では、ヒヨドリは注目を浴びやすい鳥であるとされています。
それは何故かと言いますと、ヒヨドリの分布地域に関係します。
ヒヨドリは分布上は日本以外にも、サハリンや朝鮮半島南部、台湾、中国南部、フィリピン北部など、ムクドリとそう変わらない範囲に生息している……という扱いなのですが、
実は日本以外では生息数が少なく、簡単に観測できる地域としては、実質日本のみであるとされています。
日本ではどこででも見られる鳥なのですが、海外の人にとってはとても貴重な、余所では早々お目にかかれない野鳥、という扱いのようです。
これが元で、日本に訪れるバードウォッチャーの方は、「日本に来るなら必ずこの鳥は見ておきたい」と言われるのだとか。
意外な愛されポイントですね!!
まとめなど
駅前でぎゃぎゃーと、ものすごい勢いで集まってくるムクドリの群れは、初めて見た時はちょっと怖くなる存在でもありました。
一羽一羽は小さくて可愛らしいのに、それが大量の群れとなって電線や樹木の上に集まるのは、とても異常な現象のように思えたのです。
ですが、そうやって集まるのは人が開発を進めた事が原因、と知れば、それも仕方ないものと思えてきました。
彼らがそこに居るのは人の所為だというなら、その結末を受け入れるのも人の責任、というものではないか、と。
まあ、小難しい話はここまでにして、一度住み着いてしまった以上、多分もう簡単にはいなくならないでしょうから、
上手く付き合っていければなあ、と思っています。
夕方にそこを通るとフン害にあったり騒音で辛いけれど、避けるルートを考えたり、少し早めに帰るようにすれば、案外そういった害も回避できたりしますし。
因みに最近『鳥害対策』という、電線の上にもう一本ワイヤーを引いて、鳥が電線に留まれなくする工事があるのですが、
あれはカラスや鳩には一定の効果はあっても、ムクドリのような小型の鳥には全く効果が無いようです。
駅前の鳥害対策済みの電線が、既に大量のムクドリに占拠されているのを見ましたので、ムクドリ対策で鳥害対策工事を、と思ってらっしゃる方は、これらの事実も参考にしていただけたらなあと思っています。
ヒヨドリに関しては、ムクドリ同様ありふれた鳥なのに、海外ではめったにお目にかかれない、というのはちょっと意外と言いますか。
見慣れているから珍しい感じが全くしないのですが、海外の方から見て貴重な存在だとは思いもしませんでした。
公園に座ってると普通に見かける鳥なんですけどねえ。
普段なんとなしに見ている動植物も、こんな感じに海外の方から見て珍しいと思うもの、結構あるんでしょうかね?
ちょっとだけ興味が湧いてきました。
どうぞ皆様も、興味が湧いたら調べてみる事をお勧めしますよ。
結構意外なことが多くて、そして調べる事が楽しくなったりするものですから。
まずは公園で、ムクドリとヒヨドリを見分けるところから始めてみてはいかがでしょか。