子供の頃、
なんとなくお昼寝とかで枕だけ使ってごろ寝してると、
「縁起が悪いから北枕で寝るんじゃないよ」
とご家族から注意された事、ありませんか?
筆者は祖父母と暮らしていたので、
よくおばあちゃんにそういった話をされた事がありました。
でも不思議ですよね。
なんで北枕で寝てはいけないんでしょう?
今回は、そんな疑問に答える為に、
『北枕』についてのアレコレを紹介していきたいと思います。
果たしてどんな意味があってそういう話が広がったのか。
気になる方、どうぞ見ていってくださいな!!
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北枕で寝てはいけないのは縁起が悪いから?
北枕で寝るとどうなるの?
☆意外と奥深い理由から避けられる北枕☆
北枕が何故『縁起が悪い』と言われるのか。
それは、仏教の祖『釈迦(しゃか)』が亡くなられる際、
頭を北の方角へ置いて横になっていたから、
というお話が大元にあります。
お釈迦様が亡くなられた時の姿勢と、
死を忌む事から、
北を枕に眠る事はそれを再現するに等しいという事で、
『生きている人間がそれを行うのは恐れ多い」
『生きているうちに同じ姿勢で横になるのは縁起が悪い』
とされ避けられるようになったのです。
☆生きている人がやると縁起が悪いが、死者なら問題ない☆
このように、
『生きている人がやると縁起が悪い』
とされる北枕ですが、
死者を横たわらせる際には、
むしろ北枕の方が良いとされています。
それは、北枕にする事が
『死者の極楽往生を願う』
という意味に繋がるからだそうで、
つまりは北枕とは、
『亡くなった方の為の寝かせ方』という事になるようですね。
☆実際に北に寝ると何が起こるのか☆
このように生き死にで縁起に関わる北枕ですが、
実際に生きてるのにそれを行ったからと、
別に仏罰が下るだとか、
そういった話は特にはないようなのでご安心ください。
ただ、そういった話を元に広がっている縁起話ですので、
やはり気にする方はとても気にするというもの。
特に仏教に深く関わっている方や信仰心の強い方の前では、
怒られてしまう事もあるかもしれませんので、
誰の前でも、というのは避けた方が良いかも知れませんね。
北枕で寝てはいけない?!科学的根拠があるの?!それともただの迷信?
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☆色々と謎の多い北枕☆
ここまでの記事で、
日本で北枕が避けられる理由は説明できたのですが、
実はこれとは全く違う逸話が中国には残されています。
それは、宗教とは全く別の原因によるもの。
昔の中国では、
食中毒などで急死された方を北枕に寝かせると、
なんと死者が甦る事があったそうなのです!
この為、
中国やその影響を受けた日本国内の一部地域では、
『死者を北に向け寝かせる』という文化が流行したのだとか。
つまり、これらの地域では『縁起が悪いから』ではなく、
『甦るかも知れないから』で北枕で寝かせていた事になります。
昔の北枕、一体どんな力が働いてたんでしょうかねえ。
☆残念ながら科学的な根拠は今のところ見つからない☆
このように、
『食中毒などで死んだ人が甦る可能性がある』
という事で中国などで流行った北枕ですが、
残念ながら調べた限りでは
『何故北枕にしたら甦ったのか』
などの科学的な根拠らしいものは見つかりませんでした。
ちょっと残念ですね。
死者の蘇生はあくまで迷信なのだろうか……
目からウロコ?!北枕は実は健康にいい?!
風水に見る北枕の考えかたとは?
☆風水的には北枕はむしろ推奨される☆
『頭寒足熱(ずかんそくねつ)』という言葉をご存知でしょうか?
これは
『頭を冷やし、足を温める事が健康に繋がる』
という考え方で、安眠できるようになったり、
体調を整えるのによいとされています。
風水においては、
北枕はこの『頭寒足熱』の理にかなっている、
『運気の上がる寝かた』だそうで、健康にいい為、
風水的にはむしろ北枕は推奨される寝かたなんだそうです。
☆風水的には東枕や西枕もアリとされている☆
北枕ではありませんが、
風水的には、頭を太陽の向き(東)に向けて眠ると、
仕事運や若さ、何らかの成長などを望めるようになるとの事。
エネルギーに溢れる為、うつ病の方や落ち込みがちな方には、
東枕の方が効果的かもしれませんね!
西枕の場合は心の平穏、冷静さなどを得られる方角らしく、
ぐっすり眠りたいという方には最適な方角と言えそうです。
『とにかく疲れていて身体を休めたい、ゆっくり眠りたい』
という方にお勧めできそうですね!
ちなみに南枕は風水的にはあまりよくない方角らしく、
お勧めされていない模様。
風水を信じている人の前では、
南枕はしない方がいいかもしれませんね。
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☆地磁気が血行を良くしてくれるという説もあるが……☆
このほかにも、北枕にする事で、
『地磁気』と言われる、地球の磁力線に沿った寝かたになり、
これが元で血行をよくしてくれる、という説もあるのですが……
科学的に理に適っているのかいうと今一微妙な説だそうで。
地球の磁力線は、基本的に水平に沿っている訳ではないので、
そのまま眠っても地磁気に沿った寝かたにはならないのです。
つまり、北枕にして寝ただけでは地磁気の影響は皆無。
もし地磁気に沿った寝かたをするなら、
頭を北に向けた状態で、
大きく身体を下へ反らないといけなかったり……
そんな寝かたをしたらむしろ身体がおかしくなってしまいますね。
昔でしたら信じられた話かもしれませんが、
現代では否定された説という事で紹介させていただきました。
地磁気は本当に眠る方角に無関係なのだろうか?
自然界ではどうなのかの紹介
☆野生の動物はどちらを向いて眠るのか☆
野生の動物も、
地磁気の影響をいくらか受けていたり、
地磁気を利用してコンパス代わりにしているものがいたりします。
そういった動物たちは、
果たしてどのように眠るのでしょうか?
ここでは、ちょっとアプローチを変えて、
人間以外の動物の眠り方を紹介していきたいと思います。
☆牛は北か南を向く☆
これはドイツの研究チームが放牧されている牛を対象に、
『google earth』を使用して観察した結果なのですが、
平らな地面で眠ったり食事をとったりしている約8500頭のうち、
多くの牛が北か南を向いている、という傾向が見られたそうです。
これは地磁気の影響を受けている事が原因なのだそうで、
この牛たち、送電線の近くなど、
別の磁気が発生する場所では整列しなくなったりするのだとか。
また、牛だけでなく鹿も同様に、
休息の際には北か南を向くのだとかで、
磁気を察知する能力のある動物は、
北か南を向くように休む傾向が強いのかもしれませんね。
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☆渡り鳥は磁気よりも風向きを重視する☆
同じように、地磁気を読み、
コンパス代わりにする能力を持つ渡り鳥はどうなのかと言うと……
こちらは、磁気に合わせた方向に向くのではなく、
風向きに合わせ、風向きとは逆側に頭が向くようにしたり、
風向きに逆行する形で整列したりするようです。
流石に渡り鳥というくくりではおおざっぱすぎる気もしますが、
鳥にとっては、地上で休む際には地磁気よりは、
天敵などの襲来に対応できる風向きの方が、
重視される傾向が強いのかもしれません。
まとめ
こうして調べてみると、
『縁起が悪いから』で避けられていた北枕も、
別の方向から考えるとむしろ縁起が良かったり、
健康に良かったりするという説も見かける為、
『迷信も信じる方向によっては全く別の迷信になるんだな』と、
変な感心をしてしまいました。
同じ『北枕は死者に』という信仰も、
始まりはお釈迦様の亡くなり方からきたという地域もあれば、
死者が甦ったらという願いからきたという地域もあり、
縁起がいいのか悪いのかも結構あやふやになってる気がします。
その上で、現代においては仏教上は北枕は死者の為のもので、
風水上はむしろ生きている人が健康の為にやるべき、という、
全く逆の価値観が存在していてどちらも主張する人が居る、という。
……なんともややこしい状態ですね。
どちらを信じているかで寝る方角が変わる、
という事なんでしょうけども。
寝る方角一つとっても色々考えてしまう人間って、
結構不思議かも?
考えていると眠くなってしまいそうです。
とりあえず考えるのはほどほどに、
皆様どうか、よい睡眠ライフを。
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